NVIDIAは6月2日(台湾現地時間)、開催を控える国際展示会「COMPUTEX 2024」に先駆けて基調講演を国立台湾大学総合体育館で実施した。NVIDIA Blackwellアーキテクチャ採用最新製品の導入を推し進めるほか、一般消費者向けの発表も行われている。
NVIDIA GeForce RTX AI PCでAIアシスタント実現へ
Microsoftはデバイスが備える推論性能によってAIを利活用できるPCを「Copilot+ PC」として提唱しており、初出時はQualcomm Snapdragonシリーズの強力なNPU搭載モデルだけが認証を受けていた。これまではプロセッサにおけるNPUだけが評価基準となっていたところ、今回ディスクリートグラフィックスが統合する推論専用コアでも認証基準として含むことができるようになった形。
NVIDIA GeForceシリーズではGeForce RTX 20シリーズから専用のTensorコアを内蔵しており、ゲーム体験改善のために活用されてきた。昨今ではNVIDIA独自のCUDAライブラリに加え、DirectMLなどの機械学習ライブラリでも使用可能。対応デバイスではCopilot+ PCへの無料アップデートを受け取ることができるという。
Project G-Assistでゲーム体験に生成AIを活用
また、消費者向けの発表としてゲーム内体験における生成AI活用方法「Project G-Assist」が発表された。GeForce RTXグラフィックスが搭載する高いローカルでの推論性能を生かして実現している点が特徴で、戦略の作成から戦況の分析、複雑なクリエイティブワークフローのアシストまでさまざまな機能を提供可能。
Studo Wildcardとの提携で『ARK: Survival』への導入を試験しており、これによって生物やアイテム、困難なボスとの戦況をリアルタイムで認識し、プレイヤーが体験しているゲームセッションに応答するという。
ゲーム内のアシスタントのほか、G-Assistではシステムの状況を最適に構成することも可能。性能と効率のどちらを最適化するか判断したり、ユーザーのハードウェアに応じてグラフィック設定を自動調節する。さらに冷却性能の範囲内で安全なオーバークロックを自動的に行うこともでき、パフォーマンス目標を維持しつつ電力消費を最適化することができるという。
余談だが、G-AssistはNVIDIAが2017年に言及したことのあるエイプリルフールのジョークから命名されているようだ。当時は「USBメモリのようにGPUを差し込み、ゲームをプレイできる」という内容で、実は上の画像でもこの時使われたFounders EditionのようなUSBデバイスを確認することができる。
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— NVIDIA GeForce (@NVIDIAGeForce) May 29, 2024
NVIDIA GPUのAI性能にAPIでアクセスできるように
さらに、NVIDIAはMicrosoftと協力してローカルPCのAI活用方法を拡張。WindowsネイティブアプリやWebアプリでのAI機能をさらに強化するため、GPUに対してAPI経由でのアクセスが行えるようになるという。これによって検索強化型生成が可能になる高速小規模言語モデル(SLM)や、Windows Copilot Runtimeを搭載したデバイス上で動作(RAG)させることも可能。
そのほか、Webで視聴できる映像に超解像技術を適用できる「RTX Video」がChromium系ブラウザとFirefoxで利用できるようになっていることに触れたほか、DaVinci ResolveやFilmorにも統合してアップスケーリングしたエンコードをできるようになったことにも触れられている。