アップルが、新しいApple Pencilを発表しました。側面にUSB-C端子を搭載し、iPadやiPhone 15と同じUSB-Cケーブルで手軽に充電できるようになったのがポイント。ですが、筆圧検知機能やワイヤレス充電機能が省かれるなど、「Apple Pencilならではの筆圧検知がなくなったのは残念」「Apple Pencilのラインナップが複雑で分かりにくくなった」との声も上がっています。
ただ、第2世代モデルはもちろん第1世代モデルよりも安いシリーズ最安の価格としていることは注目できます。Lightning端子を備える第1世代Apple Pencilや第9世代iPadの廃止を見据え、「一般家庭やビジネスシーン、学校で必要十分な機能を備えたApple Pencil」として登場した次世代のスタンダードApple Pencilと考えられます。
価格も機能も異なる3モデルのApple Pencil
10月17日に発表されたのが、「Apple Pencil(USB-C)」と名付けられた新しいApple Pencil。Apple Pencilは、後端にLightning端子を搭載した丸軸の第1世代モデルと、磁力でiPadの側面にくっつけるだけでワイヤレスでの充電やペアリングに対応した第2世代モデルが存在していますが、そこにさらに追加されたモデルです。
モデル名 | USB-C新モデル | 第1世代モデル | 第2世代モデル |
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価格 | 12,880円 | 14,880円 | 19,880円 |
新モデルとの価格差 | - | +2,000円 | +7,000円 |
新しいApple Pencilの特徴は、ペンの側面にUSB-C端子を搭載し、後部のカバーをスライドさせるだけで端子が現れて充電できるようになったこと。カバーは外れないので、第1世代のようにキャップをなくすこともありません。
さらに、一部の側面はフラットになっていて、第10世代iPadの側面に磁力でくっつけて持ち運べるようになっています。磁力での合体に対応するのは第10世代iPadのみで、iPad ProやiPad Airにはくっつかない点には注意が必要です。
第1世代モデルや第2世代モデルと比べると、いくつかの機能が省かれています。その1つが筆圧検知機能で、ペンを押し当てる力に応じてペンの太さを変える機能には対応しません。また、iPad Proと第2世代モデルの組み合わせで可能なワイヤレスでの充電やペアリングはできず、軸をダブルタップすることでさまざまなツールを切り替える機能も省かれました。
Apple Pencilならではの筆圧検知機能が省かれたとなると「大事な機能が削られたのは不満」と感じてしまいますが、逆に「新しいApple Pencilに7,000円を追加すれば筆圧検知やワイヤレス充電などの付加機能が加わった上位の第2世代モデルが手に入る」と考えれば納得できるのではないでしょうか。
第1世代モデルの廃止を見据えて登場した新製品か
3製品にラインナップが増えたApple Pencilですが、新しいApple Pencilは実質的に第1世代モデルの後継として登場した製品で、第1世代モデルはほどなく廃止になる可能性が高いと考えられます。先日登場したiPhone 15シリーズでLightning端子をやめて一斉にUSB-C端子を採用したことを見ても、アップルは自社製品のUSB-C化を急いでいるのは間違いありません。iPadも例外ではなく、Lightning端子を採用する第9世代iPadとともに第1世代のApple Pencilはそのうち販売終了になるでしょう。
それを見込み、新しいApple Pencilはあえて機能や装備を絞って低価格化を図り、“プロやクリエイター向け”と位置づける第2世代モデルと機能や価格の差をあえて明確にしたのではないかと感じます。家庭やビジネスでPDFファイルへの手書き機能を使いたい人、画面右下から中央に向かってスワイプするだけで手早くメモが取れるiPadのクイックメモを使いたい人など、多くの人にはスタンダードな新しいApple Pencilを推しつつ、イラストの描画などクリエイティブで繊細な用途に使いたい人には高価だけど多機能な第2世代Apple Pencilがベター、という選択肢を与えるわけです。