2023年10月17日にセガから発売された『ソニックスーパースターズ』は、従来の2D横スクロール「ソニック」のプレイ感をそのままに、3Dグラフィックで進化したハイスピードアクションゲームだ。巨大生物が生息する神秘の島「ノーススター諸島」を舞台に、ソニックやその仲間であるテイルス、エミー、ナックルズたちが、それぞれの固有スキルを駆使して、宿敵・Dr.エッグマンとファングに立ち向かう。
プラットフォームは、PlayStation 5(PS5)、PlayStation 4(PS4)、Nintendo Switch、Xbox Series X|S、Xbox One、PC(Steam)。価格はパッケージ版、デジタル版ともに6,589円、カスタムパーツなどのダウンロードコンテンツを同梱するデジタルデラックス版が7,689円だ。
今回、セガからコードをいただいたので実際にプレイしてみたら、クラシカルなスピードアクションが爽快で、いくつものルートが展開されるステージはやりごたえ抜群。同じステージを何度も挑戦したくなった。
何度も挑戦したくなる広大なステージ
『ソニックスーパースターズ』で使うのは、基本的にジャンプボタンと方向キーのみ。ステージごとにゴールを目指すシンプルなゲーム性だ。「ソニック」シリーズならではのスピード感ある横スクロールアクションを楽しめる。
なんといっても、このスピード感が同タイトルの醍醐味。普段、探索要素のあるRPGやアクションゲームをプレイする際は、あちこちくまなく調べるタイプなので、「行っていない場所を残して進む」ことに抵抗があるのだが、何もかもを置き去りにして、とにかく速くゴールすることを徹底したら、調べていない場所なんてどうでもよくなった。
駆け抜ける爽快感やゴールする達成感が、プレイヤーをスピード狂にさせるのかもしれない。気が付けば、うしろを振り返らずに走り、ステージのギミックを素早く攻略することに楽しみを見出していた。
また、同タイトルのステージがかなり広いのも特徴。矛盾するようだが、探索するおもしろさも味わえる。ただし、あちこちじっくり調べる場所があるというより、いくつものルートが用意されているイメージだ。同じステージをプレイしても、同じルートを通るとは限らない。チャレンジするたびに新しい景色を見ることができるだろう。
そのため、「上に見えるルートはどうやっていくのだろう」「次はここでジャンプしてみよう」と、何度も挑戦したくなる。タイムアタック要素もあるので、最短クリアできるルートを探すのもおもしろそうだ。
さらに、木々の生い茂った「スピードジャングル」、ネオンが照らす「ピンボールカーニバル」、水の遺跡「ラグーンシティ」など、ステージのデザインもバラエティ豊かでプレイヤーを飽きさせない。次はどんなステージで、どんなギミックが用意されているのか、常にワクワクした気持ちでプレイできた。
特に、エリア4の「ピンボールカーニバル」では、あちこちにピンボールのようなギミックが用意されており、回転するソニックがまるでピンボールのように跳ねていく様子を楽しめる。ポンポンと飛んでいくソニックがおもしろく、ここだけは進むのを忘れてつい何度も遊んでしまった。
キャラクターごとに個性があり、異なる体験が待っている
ストーリーモードで選択できる最初のプレイアブルキャラクターは、ソニック、テイルス、エミー、ナックルズの4人。それぞれ異なる固有アクションを持っており、キャラクターが変われば、操作性がガラッと変わるところもおもしろい。
たとえば、ソニックは「ドロップダッシュ」を使って、どのキャラクターよりもスピーディにステージを駆け巡る。テイルスは、尻尾をブンブン回してヘリコプターのように空を飛ぶことが可能。エミーは、ピコピコハンマーによる攻撃を繰り出せるほか、二段ジャンプを使えるキャラクターだ。ナックルズは、滑空や壁を登る能力を持っている。
そのため、同じステージでも、キャラクターによって攻略へのアプローチが異なる。実際、ソニックを選んでクリアしたステージを、ほかのキャラクターでもう一度チャレンジしてみたところ、ソニックでは通らなかったルートを、異なる固有アクションで進む新鮮さを味わえた。まるで違うステージをプレイしているように感じるほどだ。
なお、操作性が変わると言っても、基本的に使うボタンは変わらず方向キーとジャンプボタンのみ。キャラクターをチェンジしても使い方がわからなくて困ることはないだろう。
新たな力「エメラルドパワー」がゲームを引き立てる
「基本的に使うのは方向キーとジャンプボタンのみ」と最初に伝えたが、ほかにも使うボタンがある。それは「エメラルドパワー」と呼ばれる今作からの新能力を発動するためのものだ。
ステージに隠されているビッグリングに入ると、スペシャルステージに移動するのだが、そのうちの、エメラルドを追いかけるステージで、見事「カオスエメラルド」を入手できれば、エメラルドパワーを使えるようになる。
キャラクターの分身がたくさん出現する「アバター」、火の玉になって指定した方向に突撃する「バレット」、ステージの隠されたものが見えるようになる「ビジョン」など、エメラルドパワーにはいくつかの種類が用意されており、どれもバトルや探索をサポートしてくれる便利な技ばかり。エメラルドを手に入れるたびに新たなパワーが解放されていくので、次はどんな技が使えるようになるのか、ワクワクする。
もちろん、エメラルドパワーに頼らず、とにかくスピード重視でクリアすることも可能。実際、筆者は、エメラルドパワーの発動タイミングに慎重になりすぎた結果、ほとんど使わずに終わってしまうことが多かった。
ストーリーモードとは違ったおもしろさがあるオンラインマルチも
さらに、同作には、マルチプレイの要素も搭載されている。オフラインでは、最大4人の協力プレイでストーリーモードに挑戦することが可能。今回筆者はチャレンジする機会がなかったが、友達や家族とワイワイ楽しめそうだ。
オンラインでは、最大8人による「バトルモード」が楽しめる。ランダムで出現する星をどれだけ集められるか競う「スターコレクト」、消える足場の上でどれだけ生き残れるか競う「サバイバル」、ステージをクリアするスピードを競う「レース」、電撃攻撃を使って戦う「ファイティング」などのルールのうちランダムで3戦プレイし、順位に応じて手に入るポイントの総数で勝敗を決める。
成績によってアバター(メタルファイター)のカスタマイズに使えるメダルをゲットできるので、たくさんプレイして、自分だけのアバターを作るのもおもしろい。ランダムマッチングだけでなく、ルームを作成することもできる。
ただ、残念ながら、オンラインバトルのマッチングはイマイチ。最大8人までプレイできるものの、筆者が同時に対戦できたプレイヤーは2人か3人がほとんどだった。人数が足りない場合はCPUとして「メタルファイター」が参戦。「レース」は苦手なのでメタルファイター相手でもちょうどいいくらいだったが、ほかの競技ではやはり物足りなさを感じた。
ちょうどいい難易度のボス戦。ハラハラすることも多かった
そして、忘れてはいけないのがボスの存在。ボス戦も相手の攻撃を避け続けてこちらの攻撃チャンスを待つ、ベーシックな仕様だ。シンプルだが、簡単すぎず難しすぎない。とはいえ、アクションゲームが得意ではない筆者は、何度かやられてしまった。
「ソニック」シリーズでは、ステージ上にある「リング」を1つ以上保有していれば、ダメージを受けてもリングが飛び散るだけで済むシステムが採用されている。飛び散ったリングは一定時間内であれば回収可能。保有リングがゼロの状態でダメージを受けるとゲームオーバーだ。直前のチェックポイントからやり直しになる。
筆者は、ダメージを受けた際の“無敵時間”を駆使するゴリ押しプレイをしていたので、飛び散ったリングを回収し損ねてしまうことがしばしばあった。リングがゼロになると、一度もダメージを受けてはいけないシビアなゲームに早変わり。ボスの攻撃は、落ち着いて対処できれば避けられるものばかりだが、「絶対に当たってはいけない」プレッシャーが操作を狂わせる。そんなギリギリの戦いが多かったこともあり、ボス戦クリア後はいつも安堵のため息を漏らしていた。
とはいえ、敵ごとに用意されている攻撃パターンは多くないので、ゴリ押しプレイではなく冷静に立ち回れば問題ないだろう。アクションが苦手なプレイヤーでも楽しめる、ちょうどいい難易度と言える。反対に、高難易度アクションを求める猛者プレイヤーからしたら、やや簡単に思えるかもしれない。
スピーディな爽快感と広いステージの探索性が奥深い『ソニックスーパースターズ』。4人のプレイアブルキャラクターによる異なるアクションが楽しめるうえ、エメラルドパワーやマルチプレイといった新要素が、シリーズならではのおもしろさにアクセントを加える。
気軽にできるスピードアクションゲームとして初心者でも楽しめそうだし、作り込まれたステージはファンも納得の完成度なのではないだろうか。さまざまな新要素を取り入れつつも“らしさ”が詰まったタイトルと言えよう。
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