2023年6月11日、タクティカルFPSゲーム『VALORANT』の国際大会「VALORANT Champions Tour 2023 Masters Tokyo」(以下、Masters Tokyo)が、千葉県の「TIPSTAR DOME CHIBA」にて開幕しました。
「Masters Tokyo」には、Americas、EMEA、Pacificの3つのインターナショナルリーグと、中国から出場権を獲得した計12チームが集結。6月11日から21日までの試合は「TIPSTAR DOME CHIBA」で、6月24日から25日までのローワーファイナルとグランドファイナルは「幕張メッセ」にて行われます。
『VALORANT』の国際大会が日本で開催されるのは初めてのことで、世界トップチームのプレイを国内の会場で見られる、またとないチャンスでしょう。記事では、開幕初日の会場の模様を中心にレポートします。
『VALORANT』ファンで埋まり、大歓声に包まれる会場
記念すべき日本開催となった「Masters Tokyo」初日の会場には、多くの『VALORANT』ファンが詰めかけ、ほぼ満席。試合では、ラウンド取得や好プレイが起きるたびに、大きな歓声に包まれました。
「Masters Tokyo」の出場権は各インターナショナルリーグにて争われ、Pacificリーグに属する日本チームの「ZETA DIVISION」と「DetonatioN FocusMe」は、残念ながら出場権を得ることができませんでした。そのため、日本開催でありながら日本チーム不在の国際大会となり、盛り上がりを懸念する声も挙がっていました。
しかし、実際に会場を訪れると、そうした懸念を払拭する景色が広がっています。体感では、日本人ファンが8~9割を占め、海外から来ているファンが1~2割ほど。チームに関係なく、良いプレイが飛び出せば大きな拍手と歓声が上がる光景を見て、『VALORANT』競技シーンのコアなファンが日本にこんなにもいるのだと、思わず感動するほどでした。
なお、初日は観客が来やすい日曜日だったため、翌日以降の様子が気になっていましたが、平日に開催された2日目も同じくらい、ほぼ満席となっていました。
会場ロビーには、オフィシャルグッズの物販ブースや、応援ボードの記入コーナーが設けられ、こちらも多くの人でにぎわっていました。オフィシャルグッズは、アパレルブランド「UNITED ARROWS」とのコラボ商品で、日本のカルチャーを取り入れたデザインのグッズが展開されています。
会場の物販ブースでは、チームグッズの取り扱いはありません。ただし、Pacificリーグから出場する3チーム、「DRX」、「Paper Rex」、「T1」のチームグッズについては、6月21日・23日・24日の12時から20時まで、中野にある「Red Bull Gaming Sphere」にて合同グッズ販売が行われます。
さらに、会場の外でも日本開催の盛り上がりを感じるのが、千葉都市モノレールの「Masters Tokyo」記念ラッピング車両です。千葉都市モノレールは、会場の最寄り駅「千葉公園駅」を通る路線で、ラッピング車両は6月25日まで運行されます。ラッピング車両に乗りたい場合は、千葉都市モノレールの公式ページで時刻表を確認するとよいでしょう。
Masters Tokyoラッピングモノレール来た~~~!!!🚃#VALORANTMasters pic.twitter.com/lUThTbzimJ
— 綾本ゆかり / Yukari Ayamoto (@ayayuka99) June 11, 2023
日本開催らしい、マンガ&アニメの魅力を活かした演出
今回の「Masters Tokyo」では、日本開催ならではの要素として、マンガやアニメを活かした演出がとても印象的です。まず、会場外の入り口付近では、マンガ風のイラストが描かれたボードがお出迎え。日本をモチーフとするマップ「スプリット」を舞台に、日本出身のエージェント「ヨル」をフィーチャーしたイラストが描かれています。
そして、入場時には「Masters Tokyo」を記念したマンガ『RANK UP!』が来場者に配布されます。内容は、架空のプロチーム「TEAM RANK UP」の選手を描く物語です。特設サイトでも公開されているので、ぜひチェックしてみてください。
さらに、開幕のオープニングムービーは、アニメトリビュートビデオからスタート。『VALORANT』のエージェントたちが、ゲーム内のマップで迫力のバトルを繰り広げるだけでなく、ゲームの世界を飛び出し、東京の街にいる姿が描かれます。この制作には、『攻殻機動隊』や『PSYCHO-PASS サイコパス』などを手掛けたアニメ制作会社「Production I.G.」が携わっており、日本の強みを活かした取り組みといえるでしょう。
オープニングムービーではそれに続き、渋谷や秋葉原などをはじめとする東京のさまざまなスポットで撮影された「Masters Tokyo」の出場チームの映像が流れました。見慣れた日本の景色のなかに、海外トップチームの選手たちがいる映像を見ると、改めて日本開催を実感させられます。
なお、「Masters Tokyo」のオフィシャル写真も、各チームそれぞれ映像と同じ場所で撮影されており、いずれも日本らしい象徴的なスポットでの写真に仕上がっています。
海外選手たちがプレイする姿を間近に見られる会場
会場の「TIPSTAR DOME CHIBA」は、自転車競技のトラックを有する多目的スポーツ施設です。そのため、トラックの外周にスタンド席(座席表のA~Fブロック)があり、追加販売されたフロアシート席(H~Kブロック)はその内側に設けられています。
スタンド席とフロアシート席、どちらからもステージや大型モニターが見やすく、観戦のしやすさが考慮された配置だと感じました。ステージを横から見るスタンド席は、選手たちがプレイしているモニターが遠目に直接見えるだけでなく、ガッツポーズやグータッチなどのリアクションもよく見えます。
フロアシート席は、試合中の選手たちの姿はスタンド席より少し見にくいものの、ステージとの距離は近く、試合前後に各チームの選手たちが並ぶ姿や、勝利チームの選手インタビューなどを正面から見ることができます。ただし、ステージ前の両サイドには実況解説席が設けられているため、端の席はステージがやや見にくいかもしれません。
「TIPSTAR DOME CHIBA」での試合は、6月21日まで開催。日によってはまだチケットが残っており、売り切れた席もタイミングによっては、リセールに出ている場合があります。海外に行かずとも国際大会を見られるうえ、かつ日本語の実況解説を聞きながら盛り上がることができる、とても貴重な機会です。興味がある方は、ぜひチケット販売サイトをチェックしてみてください。
Pacificリーグから出場する3チームの活躍に期待
「Masters Tokyo」では、初日から続々と、見応えのある激戦がくり広げられています。すでに好きな海外チームや選手がいるファンも多いと思いますが、普段は日本チームを応援しているという人は、Pacificチームの活躍に注目すると、より楽しく観戦できるでしょう。
なぜなら、Pacificリーグに属するチームが「Masters Tokyo」で優勝すれば、Pacificリーグの「Last Chance Qualifier」(以下、LCQ)から、世界大会「Champions 2023」への出場枠が1つ増えるためです。もし実現すれば、「LCQ」に出場する日本2チームにとって大きなチャンスにつながります。
初日には、Pacificリーグから韓国の2チーム、「DRX」と「T1」が出場。両チームとも、それぞれ中国チームとの初戦を戦い、勝利する好スタートを切りました。「DRX」のstax選手は勝利インタビューで、「初戦を勝利で飾れたと同時に、セカンドホームである日本のファンの皆さんの前で勝てたことがうれしいです」とコメント。日本を“セカンドホーム”と表現したことに、心打たれたファンも多かったでしょう。
ただ、「DRX」と「T1」はDAY2以降に行われた2戦目で敗北し、グループステージのロワーブラケットに移っています。本大会では、グループステージを戦う8チームのうち、上位4チームがプレイオフに進出。「DRX」と「T1」は、続くDay4の試合で勝てばプレイオフ進出、負ければ大会敗退となります。
そして、プレイオフからは、各インターナショナルリーグで優勝したシードチームが出場します。Pacificリーグからは、シンガポールチームの「Paper Rex」が出場。現状、something選手がビザの影響で来日できていない点が懸念されますが、圧倒的なフィジカルでPacificリーグの頂点に立った「Paper Rex」の活躍にも、期待が寄せられています。
6月25日のグランドファイナルまで、まだまだ続く「Masters Tokyo」。国際大会ならではの、ハイレベルな熱戦をぜひ楽しみましょう。