家電量販店のジョーシンが、大阪・日本橋電気街に新しい旗艦店「ジョーシン日本橋店」を11月5日にオープンします。CDやアナログレコードを取り扱う音楽/映像ソフトフロアや、試聴もできる高級オーディオコーナー、開梱品や中古品の販売など、競合の家電量販店があまり力を入れていない売り場をあえて拡充したのが特徴。自宅の近くにジョーシンのお店がある人でも、「日本橋のジョーシンでないと満足できない」「日本橋のジョーシンに行けば掘り出し物があるんじゃないか」と思わせる店舗にしています。周辺の店舗もジョーシン日本橋店と連携して集客イベントを実施するなど、「ジョーシンの新店舗が顔となって日本橋電気街を活性化してほしい」と期待を寄せていました。
ニッチなジャンルをあえて拡充、「日本橋に足を運びたくなる店舗に」
日本橋電気街の目抜き通りとして知られる堺筋の真ん中にオープンするジョーシン日本橋店。かつてディスクピア日本橋店があった場所に、7階立ての店舗を建て替えました。同店の川井彰店長は「建物はモダンで都会的なイメージに仕上げた。日本橋は古い街だが、都会的な日本橋店で活性化したい」と語ります。
フロア構成でまず特徴的なのが、2階のDISC・PIER(ディスクピア)フロア。昨今、サブスクの音楽配信や動画配信が主流になり、CDやDVDなどの音楽/映像ソフトは売り上げが減少しています。そのようななか、ワンフロアをまるまる使い、アナログレコードを含む13万アイテムもの音楽/映像ソフトを取りそろえているのは異例とも感じます。
もう1つ特徴的なのが、5階の映像・オーディオフロア。こちらも、昨今はスマホやワイヤレスイヤホン、Bluetoothスピーカーを用いたカジュアルな楽しみ方が主流になるなか、数十万円~100万円を超えるアンプやスピーカーなど高級オーディオの試聴コーナーを設けるなど、異例の内容になっています。
このようなニッチなフロア展開にした理由について、川井店長は「ディスクピアや高級オーディオの品ぞろえは競合店にはないレベルで、店員の商品知識も高めた。特に、高級オーディオはマニアが多いため、客と話が通じないとそっぽを向かれてしまう。店員が客と会話が交わせるようにした。若年層に支持を集めているLPアルバムも多く用意した。これらの点を客が評価してくれれば、必ず常連になって日本橋に通ってくれる。近くにジョーシンがある客も、日本橋まで来たくなる」と説明しました。
堺筋の向かいには、プラモデルや模型、フィギュアを専門に取り扱うスーパーキッズランド本店があり、日本橋店のオープンに合わせて販売フロアを拡充しています。同店の今井智司店長は「日本橋は電気街ではあるが、近ごろはサブカルチャーで支えられている面もある。未発売の商品の参考展示なども設け、熱心な客も満足できる店舗にした。日本橋店と合わせて1つのジョーシン旗艦店と位置づけている」と語ります。
中古も新品と並べて販売、「掘り出し物があるかもしれない」
ディスクピアやオーディオ以外にも、日本橋店では力を入れている部分が多くありました。
パソコンを取り扱う3~4階のJ&Pフロアは「周辺でこれだけ置いているところはない」(川井店長)と語るほどパソコンの展示台数を充実させたほか、量販店では珍しく法人向けモデルの在庫を置いて持ち帰れるようにしてます。
また、日本橋店では中古品や客からの下取り品、開梱品も新品と同じフロアで販売していました。川井店長は「日本橋に行けば何か掘り出し物があるんじゃないか、と客に認識させたい」と語ります。
周辺の店舗からも電気街への集客効果を期待する声が
日本橋店7階のイベントフロアでは、日本橋電気街の周辺店舗や地元の企業、地元の小学校などと連携した集客イベントも実施するのもこれまでにない取り組みです。背景には、日本橋電気街の地盤沈下に対する危機感がありました。
「日本橋電気街は、ラジオや電子部品など、栄えたジャンルがくるくる変わっていった街だ。ただ、ここ数年のインバウンド需要を狙った免税店の隆盛で、街が荒れていった。一般の客が近寄りがたい街になって、街の活気がなくなった。新しい日本橋店は、ディスクピア、高級オーディオ、スーパーキッズランドを柱に、近くにジョーシンがある人もあえて来たくなる店舗にしたい」と、川井店長は力を込めて語ります。
周辺の店舗からも「日本橋店のオープンを心待ちにしていた」という声があり、街全体で期待が高まっているのを感じるそう。ジョーシン創業の地である日本橋で、ジョーシンが日本橋電気街を大いに盛り上げてくれそうです。日本橋店のオープンは11月5日10時。オープンセールも実施するので、「日本橋は久しく行ってないな」という人も足を運ぶ価値はありそうです。