大学入試改革や「GIGAスクール構想」によって、子どもたちの学びを取り巻く環境が変化しています。最近はコロナ禍の影響で、宿題の提出をオンラインで行ったり、動画を通して授業の理解を深めたりと、勉強方法については私たち保護者世代と大きく異なりますよね。
ICT 教育が広まるにつれ、「パソコンのことを聞かれてもわからない」「どのオンライン学習ツールが子どもにあうのだろう」と悩んでいる保護者の方もいるのではないでしょうか。しかし、それは保護者だけでなく、教育現場で働く先生たちも同じかもしれません。
そこで今回は、カシオのICT学習ツール「ClassPad.net」を導入している常葉大学附属橘中学校・高等学校(静岡県)で英語を担当し、学校全体のICT化推進にも携わる菅原隆平先生の取り組みをご紹介! その活用方法について迫っていきます。
まずは「ClassPad.net」について、おさらいしましょう。「ClassPad.net」は、カシオが展開するクラウド型学習サービスです。
カシオの電子辞書や関数電卓は、教育現場で広く使われています。ICT教育の急速な普及に伴い、同社ではハードウェアだけでなくソフトウェアの開発にも着手。日頃から教育現場と繋がりがあるという強みを活かし、先生たちの意見を取り入れながら進化を続けているのが「ClassPad.net」です。同社の電子辞書「EX-word」をベースにした辞書機能をはじめ、デジタルノートや数学ツールなど幅広いコンテンツを備えています。
また、2022年7月からは新たに英単語帳コンテンツを搭載。英検・GTEC・TEAPなども含め、学習する人の目的やニーズにあわせてコンテンツが選べます。この英単語帳には、覚えにくい単語を繰り返し学習できる「テスト機能」や、単語の発音をネイティブ音声で確認できる「リスニング機能」なども備わり、生徒の自己学習をサポートするツールとして大幅に進化しました。
このように機能が充実している「ClassPad.net」は、高校向けのトライアル版が累計600学校以上に導入(2022年7月時点)され、小中学校や大学向けのプランもリリースされています。
そんな「ClassPad.net」を導入して、菅原先生は「業務の効率化が進んだほか、学習面では生徒の学習意欲が高まっている手応えを感じる」と話していました。ここからは同校がどのように「ClassPad.net」を活用しているのかを具体的に紹介していきます。
まずは菅原先生が担当している英語から。先生がメリットに感じているのはまず提出物の管理だそうです。
「これまで英語の課題・成果物提出は、ノートを回収して次の授業までに返却するという作業が必要で、まさに時間との戦いでした。それが『ClassPad.net』では、提出された順に教員のすきま時間を有効に使って課題をチェックし返却ができます。また、生徒ごとに課題の提出日が表示されるため、誰が提出できているかひと目で確認できるのも便利な点です。提出物は記録として残るので、評価材料としても利用できます」と菅原先生。
従来はノートの山を傍に置きながら課題をチェックしていたため、まとまった時間とノートを置く場所の確保が必要でした。しかし、オンラインで確認できるようになったことによって、回収するための時間や場所の制約から解放され、効率が良くなったのだそう。
今年の4月から高校1年生を対象にこの取り組みを続けた結果、英作文の課題で提出される英文の量が格段に増え、確実に生徒の学習意欲が変化していると感じているそうです。
「書いたものをすぐにフィードバックできているので、生徒側も、もうちょっと書いてみよう! という気持ちが少しずつ膨らみいい循環になっているのではないかと思います」と菅原先生は説明します。
物理や化学など理系科目では、課題をPDFで生徒に送付。生徒は「ClassPad.net」を使って、PDFに直接回答を書き込んでいきます。「こういった形にすることで、生徒の計算や考えの過程がわかるんです。教員は提出されたPDFをみて、答えの正誤だけではなく、答えが導き出される過程も含めて添削していきます」と菅原先生はいいます。
過程もフィードバックできることで、「なぜこの回答になるのか?」という部分の理解を促すことができますね。
菅原先生も意外だったと話すのが、美術の授業での活用です。これまでは、課題作品を期限に提出し、その作品の完成度を中心に評価を行っていました。もちろん生徒の取り組み方や積極性なども評価をしていますが、曖昧な記録で評価していた部分も多いといいます。
しかし「ClassPad.net」を使うことで、作品が出来上がるまでの過程を可視化することができるそう。
例えば1枚の絵を描く工程には、テーマの設定・下書き・着彩など複数の工程があります。その工程ごとに「ClassPad.net」で成果物を提出し、教員側はコメントやアドバイス、評価のスタンプをしていきます。その結果、提出して短時間でフィードバックがもらえるほか、生徒も質問がしやすくなりました。こうしたやりとりがスムーズになることで、生徒が主体的に学習に取り組む姿勢も読み取れるそう。
対面授業の時には、生徒の作品をプロジェクターに投影してみんなで鑑賞しながら、1つずつ講評することも可能です。美術の先生からは「画期的なシステムだ! 」と高い評価を得たといいます。
さて、積極的に「ClassPad.net」を活用している同校ですが、もちろんすぐに活用が進んだわけではありません。菅原先生は、「ClassPad.net」を浸透させるために、4つの工夫をしたと説明します。
管理職のバックアップ
管理職から校内全体に『ClassPad.net』について紹介してもらうことで、話を広げやすくなりますし、学校全体で取り組もうとする雰囲気が大きく変わります |
“ほかの先生にも教えてくださいね”作戦
教員のなかには教えることは好きでも、教わることには少し抵抗があるという人も少なくありません。そこで1度に全体周知するのではなく、まずは一部の人に活用方法を教え、”今日知ったことをほかの先生にも伝えてくださいね”とお願いします。そこからどんどん『ClassPad.net』が周知されるようになりました。教員の強みを活かして、校内に広げることができたんです |
やり方をアップグレードするという意識
新しいことを始めようとすると、荷が重くてなかなか物事が進まないことがあります。無理矢理ICTツールの導入を促すのではなく、現在の取り組みをアップグレードするという意識を持って”こういう風にやってみたらどうでしょうか”と提案型で話をするようにしました。 紙ベースの作業は、全部否定できるものではありません。今までとやり方を変えない人がいても全然構わないんですよね。それくらいの気持ちで、構えていた方がやりやすかったと思います。紙ベースで業務をしている先生が“どうやるの?“と聞いてきたら、『チャンス!』くらいに思っていました |
頻繁な勉強会
1番効果があったといえるのが勉強会の実施です。非常勤の先生も含めて、短い期間で何回も勉強会を行いました。1週間に4回ぐらいでしょうか。空き時間や放課後などを利用して、相手の先生の時間に合わせてマンツーマンで行いました。何度も実施した結果、みんなで取り入れようという意識が自然に広がっていったような気がします。次第に、『ClassPad.net』に対して質問や意見がどんどん出てくるようになりました。 また、勉強会の時に意識したのは、できたら褒めるということ。ちょっと子どもっぽいかもしれませんが、できないと不安になりますし大人も褒められたらやはり嬉しいと思います。その点は忘れないようにしていました |
菅原先生は最後に「今私たち教員が相手にしている生徒は、急速にデジタル化が進んだ時代に生きているわけです。教育業界でのデジタル化というのは、生徒のためでもあると思っています」と力強く話していました。
ICTツールを利用することで、生徒の授業の理解を助けるだけでなく、自宅学習も効率よく進めることが可能になります。一方、忙しい先生たちが授業に集中するためには、事務作業の効率化や授業前後の負担軽減は重要なポイントです。
「ClassPad.net」は、現場の声に合わせてよりよいツールになるよう日々改良を重ねており、今後も進化する予定です。「ClassPad.net」のように教える側も学ぶ側も使いやすいツールが現場に浸透していけば、より質の高い授業のサポートや、事務作業の簡素化の一助になるのではないでしょうか。
今後も「ClassPad.net」の動きに注目していきましょう。
[PR]提供:カシオ計算機