毎年、春と秋の年2回開催されているヘッドフォン祭。コロナ禍でしばらくオンライン開催が続いていましたが、4月29日に「春のヘッドフォン祭 2022 mini」が約2年半ぶりに展示会形式で、東京・中野サンプラザにおいて開催されました。当日会場で見つけた製品や、注目のトレンドを紹介します。

  • 「春のヘッドフォン祭 2022 mini」で見つけた新製品。(左から時計回りに)ラディウスのLDAC対応完全ワイヤレスイヤホン「HP-R300BT」、FiiOのスティック型ポータブルDACアンプ「KA1」、米Cleerのノイキャン搭載“ハイコスパ”完全ワイヤレス「ROAM NC」、英iFi audioのポータブルDACアンプ「GO bar」

  • 会場となった東京・中野サンプラザ

スマホやPCと組み合わせる「ポータブルDAC」続々

スマートフォンやPCにつないで使う、スティック型のポータブルDACアンプが数年前から増えているのをご存じでしょうか。音にこだわって有線のイヤホンやヘッドホンを使いたいけれど、「手持ちのスマホにヘッドホン出力がない」、「高価なポータブルプレーヤーを買って持ち歩くのは二の足を踏んでしまう」という人にも比較的手が出しやすいアイテムとして、静かに人気を集めています。

今回のヘッドフォン祭では参考出展の製品として、多彩な音質調整機能を備えた英iFi audioの「GO bar」や、手ごろな価格帯での発売を予定しているFiiO「KA1」などが初登場。さらにアユートのブースでも、写真撮影は禁止されていましたが、未発表のポータブルDACアンプが参考出品されていました。手持ちのデバイスと組み合わせて良い音を手軽に楽しみたい人にとって、気になる選択肢がこれからも続々登場しそうです。

なお、会場ではこの他にも既発売の製品として、内蔵バッテリーと接続したデバイスからの給電の組み合わせで“ピュアで力強い高音質”を追求したShanling「UA5」や、ユニークな造形が目をひく水月雨(MOONDROP)「MOONRIVER2」などがあり、各ブースで試せるようになっていました。それぞれの製品情報は以下の通りです。

■iFi audio「GO bar」(参考出品)

  • iFi audio「GO bar」

  • 50,000円前後(想定価格) / 2022年内予定
  • DACチップ:未公開
  • 対応音源:PCM 384kHz/32bit、DSD256、MQAフルデコード対応
  • 入力:USB Type-C(USB Type-C、Lightningの変換ケーブル2本が付属)
  • 出力:3.5mmステレオミニ、4.4mmバランス
  • その他の特徴:ノイズ低減iEMatch/低域増強XBass+/音場補正XSpace搭載
  • 本体の裏面に、各モードを示すLEDを搭載

  • 収納ケース(左)やUSB Type-C、Lightningの変換ケーブル2本(右上)が付属

■FiiO「KA1」(参考出品)

  • FiiO「KA1」

  • 8,000円前後(想定価格) / 2022年春予定
  • DACチップ:ESS Technology「ES9281AC PRO」
  • 対応音源:PCM 384kHz/32bit、DSD256、MQAレンダラー対応
  • 入力:USB Type-C / Lightning(2つのバリエーション展開)
  • 出力:3.5mmステレオミニ
  • その他の特徴:RGBインジケーター搭載

■Shanling「UA5」

  • Shanling「UA5」。通常カラーは黒一色だが、会場では赤いカラーバリエーションも展示されていた

  • 直販32,780円 / 発売済み
  • DACチップ:ESS Technology「ES9038Q2M」×2
  • 対応音源:PCM 768kHz/32bit、DSD512
  • 入力:USB Type-C(USB-C to Cケーブル)
  • 出力:3.5mmステレオミニ(最高2.1V@32Ω)、4.4mmバランス(最高2.6V@32Ω)
  • その他の特徴:USB給電対応+内蔵バッテリー「ハイブリッドモード」対応
  • ヘッドホン出力は3.5mmステレオミニと4.4mmバランスの2系統

■水月雨(MOONDROP)「MOONRIVER2」

  • 水月雨(MOONDROP)「MOONRIVER2」

  • 実売31,000円前後 / 発売済み
  • DACチップ:Cirrus Logic「CS43198」×2
  • 対応音源:PCM 768kHz/32bit、DSD256
  • 入力:USB Type-C(USB-C to Cケーブル、USB-C to A変換ケーブルが付属)
  • 出力:3.5mmステレオミニ(最高2Vrms)、4.4mmバランス(最高4Vrms)
  • その他の特徴:CNC加工による航空用アルミニウム合金製ボディ
  • 3.5mmステレオミニと4.4mmバランスの2つのヘッドホン出力を備える

  • 地図の等高線模型のような複雑な形状がユニーク

  • FiiO「BTR7」。これはスティック型のポータブルDACアンプではなくBluetoothレシーバーアンプだが、USB接続でも使え、3.5mmステレオミニと4.4mm 5極のバランス出力を装備する。今回会場で初披露されたもので、2022年上半期に30,000円前後で発売予定だ

春夏を彩るユニークな完全ワイヤレスイヤホン

多彩な製品がひしめく完全ワイヤレスイヤホン市場では、毎月のように新機種が続々登場しています。低価格化も進んで数が増えており、玉石混交のなかからどれを選べばいいのか困る状態ですが、ある程度以上の高価なモデルを購入検討の候補に入れられるのであれば、結果として十分満足いく買い物になる可能性がグッと上がります。

今回のヘッドフォン祭では、finalの「ZE2000」(2022年初夏発売予定/価格未定)や、Noble Audio初のノイズキャンセリング(NC)搭載機「FALCON ANC」(5月13日発売/実売19,800円前後)といった、ポータブルオーディオマニアから人気を集めるブランドの新機種が注目を集めていました。他にも、音質や使い勝手にこだわった1万円台前半の手ごろな製品から、3万円を超えるようなハイエンドモデルまで、4つのユニークな製品を会場で発見。写真とともに見ていきましょう。

■LDAC対応のラディウス「HP-R300BT」

  • ラディウスの新製品「HP-R300BT」。イヤホン本体、ケースともに石肌のようなザラッとした手触りが印象的で、指紋が目立ちにくそうだ。6月頃発売予定で、店頭価格は14,300円前後を見込む

  • フルレンジとツイーターを同軸配置したデュアルダイナミックドライバーを搭載して音質強化を図り、さらにLDACコーデック対応機器と組み合わせることでハイレゾ相当のサウンドを楽しめるとする

■ノイキャン搭載の“ハイコスパ”モデル、Cleer「ROAM NC」

  • SONY(US)で長年オーディオ製品に関するキャリアを積んだ人物が創業した、米Cleerの完全ワイヤレスイヤホン「ROAM NC」。2022年春に発売予定で、店頭価格は10,000円前後を見込む。既に海外で発売済みの製品だが、新たにAACコーデックにも対応させた日本独自仕様モデルを市場投入する。国内ではエミライが取り扱う

■サファイアガラスとKevlar使ったMaster&Dynamic「MW08 Sport」

  • 米Master&Dynamicの「MW08 Sport」(3月31日発売/直販46,200円)。ラグジュアリー完全ワイヤレスイヤホン「MW08」(2021年発売/43,500円)のバリエーションモデルで、イヤホン本体には飛散防止加工を施したサファイアガラスを、ワイヤレス充電にも対応する付属の充電ケースには特別仕様のKevlarファイバー製素材を採用して、デザイン性と耐久性を高めた。国内では完実電気が取り扱う

■1BA+高音質DACのAstell&Kern「AK UW100」

  • アユートが取り扱うAstell&Kernブランド初の完全ワイヤレスイヤホン「AK UW100」(4月9日発売/39,980円)。Knowles製のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを1基備え、Bluetoothチップセット内蔵DACとは別に、旭化成エレクトロニクス製32bit DACアンプ一体型チップ「AK4332」も搭載。さらにAKプレーヤーで培った独自技術も融合させて音質を高めた